落語「あくび指南」は、町内にあくびを教える「あくび指南所」ができたと聞いて、ある男が、その指南所に友人を連れていくというお話です。
あくびを習うという風変わりな設定や、くだらない面白さは落語ならではです。
この記事では、落語「あくび指南」のあらすじや登場人物の紹介をしていきます。
あくび指南とは
江戸時代の後期ごろ、世の中も平和になり、世間でも色々な習い事が流行っていました。
そんなある日、このお話の主人公が、町内にあくびを教える「あくび指南所」ができたということを耳にします。
落語「あくび指南」は、あくび指南所ができたことを聞いて、あくびについて習いたくなった主人公が、友人を連れて、その指南所に行くというお話です。
登場人物
それでは、落語「あくび指南」の主な登場人物を紹介していきます。
主人公
この落語の主人公。
ある日、あくび指南所ができたことを耳にして、あくびの稽古に通うことを決めます。
主人公の友人
主人公の友人。
最初は「お金を払って、あくびを習うなんてバカげている」と断りますが、熱心に主人公が誘ってくるので、仕方なく、一緒に「指南所」へ行くことになります。
同年代の友人というよりは、少し上の兄貴分のような存在で演じられることが多い役柄です。
師匠
あくびの指南所を開いている人。
真面目にあくびを教えてくれる姿に滑稽さを感じます。
あらすじ
それでは、落語「あくび指南」のあらすじを紹介していきます。
主人公が「あくび指南所」に行こうと友人を誘う
時は、江戸の後期。
平和な時代が続いており、江戸の庶民の間でも、読み書き、そろばん、踊りに長唄など、お稽古事が流行っています。
そんなある日、「あくび指南所がある」と聞いた主人公が、一緒に指南所に行かないかと、友人を誘います。
今からあくび指南所に行こうと思ってるんだ。
付き合ってくれよ。
あくび!?
そんなもん、金払って習うもんじゃねぇだろ。
あくびなんか勝手に出てくるもんだ。
このように、あくびを習いにいきたいという主人公に対し、友人は呆れてしまいます。
ところが、主人公はやる気満々で、友人は根負けしてしまい、自分はやらずに見るだけという条件で、あくび指南所について行くことになります。
指南所であくびを教えてもらう主人公
二人は、あくび指南所につき、当初の予定通り、友人は稽古の様子を見学し、主人公だけあくびを教えてもらうことになります。
あくびを教えてもらいに来ました。
今日は、よろしくお願いします。
ふむ。
あくびの経験はおありかな?
今日が、初めてです。
そうか。
あくびにも色々あってな…。
あくびにも四季のあくびというものがあるんだ。
四季のあくびというのがあるんですね!
そうだ。
春・夏・秋・冬、どのあくびを習いたい?
どれがどれだか…
ちょっと選べませんね
では、四季のあくびの中でも、一番簡単な「夏のあくび」から教えることにしようか。
こんな調子で、主人公は、夏のあくびを教えてもらうことになりました。
夏のあくびを教えてもらう主人公
ここから、夏のあくびの指導が始まります。
まず、夏の暑い日に、あなたが、小さな船の上に乗っているところを思い浮かべなさい。
はい。
そして、船頭さんに次のように話しかけるんじゃ。
「おーい、船頭さん。船を上手にやっておくれ。
堀から上がって、一杯やって、夜は吉原にでも繰り出して遊ぼうかなー。
船もいいが、一日中乗ってると、退屈で、退屈で…
ふぁあぁぁ〜…、ならねぇや…。」
これが、夏のあくびじゃ。
先生!
素晴らしいです!私もやってみたいです。
では、やってみなさい。
上手く夏のあくびができない主人公
師匠に夏のあくびのお手本を見せてもらい、それにならって、主人公も夏のあくびにチャレンジします。
しかし、何度も何度も教えてもらいながら、チャレンジしてみますが、ぎこちなく、なかなか上手にできません。
不器用な方だなー。
こんなに不器用な方は、初めてだ。
すみませーん…。
そんなやりとりを見ていた、友人がしびれを切らし、口を出します。
さっきから聞いてりゃ、習う方も教える方も、呆れたもんだ!
待たされる身にもなってみろってんだ…。
あぁ、もう…
退屈で…、退屈で…
ふぁあぁぁ〜…
友人のあくびを聞いて、師匠から一言。
あぁ、お連れさんの方が、ご器用でいらっしゃる。
このように、自然に出た友人のあくびを、あくびの師匠が褒めるというオチでこのお話は終わります。
まとめ
落語「あくび指南」は、あくびの指南所にある男と友人が、あくびを習いに行く。というお話でした。
「あくび指南」の他にも、これから落語を楽しみたい方に向けて、記事を作成していますので、参考にしてみてください。