商売下手な男が一攫千金!落語「火焔太鼓」の登場人物やあらすじを解説

火焔太鼓 アイキャッチ

落語「火焔太鼓(かえんだいこ)」は、代表的な古典落語のひとつです。

物語は、商売が下手な古道具屋が、価値のなさそうな古びた太鼓を手に入れたことから始まります。
しかし、この太鼓が思わぬ大金を生むことに…。

この記事では、落語「火焔太鼓」の主要な登場人物やあらすじを紹介します。

目次
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落語「火焔太鼓」とは

火焔太鼓

落語「火焔太鼓(かえんだいこ)」は、代表的な古典落語のひとつです。

物語の主人公は、商売が下手な古道具屋の甚兵衛。
この男が古くて汚れた太鼓を手に入れたところから、話が始まります。

このお話の元は、江戸時代からある小話を明治末期に初代三遊亭遊三が少し膨らませて演じ、その後、五代目古今亭志ん生が、その話を昭和初期に仕立て直し、現在の形にしたと言われています。

登場人物

主な登場人物

それでは、火焔太鼓の登場人物を紹介していきます。

主人公(甚兵衛)

ちょんまげの男性

商売が下手な古道具屋の店主。甚兵衛という男で、このお話の主人公です。
度々、怪しげなものを仕入れては、妻に呆れられています。

主人公の妻

江戸時代の女性

甚兵衛の妻。
しっかり者で、夫の甚兵衛を尻に敷いています。

お殿様

お殿様

物語の後半で登場してくるお殿様。
甚兵衛が仕入れた太鼓に興味を持ちます。

家臣の男

侍

お殿様に仕える家臣。
お殿様に頼まれ、甚兵衛のお店に交渉に向かいます。

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あらすじ

あらすじ

それでは、落語「火焔太鼓」のあらすじを紹介していきます。

主人公が古びた太鼓を買ってくる

主人公の甚兵衛は、人はいいのですが、商売はからっきしです。
この日も、市で古くて汚れた太鼓を押し付けられ、古道具屋に帰ってきます。

主人公

市に行って、太鼓を買ってきたんだ。

太鼓!?
お祭りの時期でもないのに、今の時期は売れないよ。
見た目はどんなだい?風呂敷をといてみな。

主人公

お…おう。

なんだいこりゃ!
古くて汚い太鼓だねぇ。

いくらだったんだい?

主人公

一分(いちぶ)だったんだよ。

こんなもん一分で買ってきちゃって!
一文でも売れやしないわよ!

甥っ子に太鼓のほこりを落とすように伝える

甚兵衛は、甥っ子の定吉に、外に太鼓を持っていき、ホコリを払うように命じます。
定吉は、素直に応じるのですが、ホコリを落とす際に、ドンドンと太鼓を叩いてしまい、近所に太鼓の大きな音が鳴り響きます。

その太鼓の音を聞いて、一人の侍が古道具屋を訪れます。

これこれ。
今、太鼓を打ったのは、その方の家か?

主人公

さ、左様でございます。
ただ、あそこにいる甥っ子が太鼓を打ったのでございます。

いやいや、太鼓の音を怒りに来たのではないんだ。
太鼓の音がお上の耳に届いて、その太鼓がどんなものか、ちょっと見たいらしいんだ。
だから、屋敷に太鼓を持ってきてくれ。ことによると、買ってくれるかもしれないぞ。

主人公

へ…、へい。
わかりました。

屋敷に呼ばれたことを妻に伝える甚兵衛

主人公

かくかくしかじかで、太鼓を持って屋敷に来るように言われたんだ。

それは、音しか聞いてないから、装飾の綺麗な太鼓だと思われてるんじゃないのかい?
あんな汚い太鼓を持ってったら、お殿様の機嫌を損ねるんじゃないのかい?

主人公

それは嫌だなぁ。

冗談だよ。
でも、売れると思って行ったらダメだよ。
もしも、お殿様が「この太鼓いくらだ?」と聞いてきても、欲は出さずに「一分で仕入れたから、一分でいいです」って答えるんだよ。

主人公

わかったよ。
じゃあ、行ってくるよ。

屋敷に太鼓を持って行く甚兵衛

屋敷にて。

主人公

こんにちは。
太鼓を持って参りました。

お、先ほどの道具屋か。
こちらへ上がりなさい。
太鼓はどれだい?

主人公

へぇ。こちらでございます。

ほぉ。
これは、先ほど店で見た時と比べ、だいぶ時代がついておるな。
では、早速、殿にお見せしよう。

そう言い残し、侍はお殿様のところへ、太鼓を運んでいきます。
待つ間、甚兵衛は、「あんなに汚い太鼓だから、売れないだろうなー」などと考えながら待っています。

太鼓を見たお殿様の反応は?

ただいま戻った。
お殿様に太鼓を見せてきたぞ。

主人公

汚い太鼓を見せて、お殿様は怒ってはいないでしょうか?

いや、たいそう喜んでおられてな。
お買い上げになるそうだ。

主人公

本当ですか!?

本当だ。
この太鼓は、いくらかな?
いくらでも良いから申してみよ。

主人公

えっと…
じゃあ、10万両…

それは、高い!

主人公

高い?
そりゃそうですよ。
いくらでも値切って下さいませ。

そんな商いがあるか。
どうじゃ?三百両で売る気はあるか?

主人公

え!?
今、三百両と申されましたか?

そうじゃ、三百両じゃ。

主人公

そ…そんな大金を…。えらいことだぁぁぁぁ。

はい、お受けします。
ところで、あの汚い太鼓を、なんでそのような値段で買って頂けたのですか?

拙者も詳しくはないのだがな、お上が言うには、あの太鼓は「火焔太鼓(かえんだいこ)」と言って、世に一つ、二つという名器だそうだ。

甚兵衛が帰宅し、妻に報告する

甚兵衛は、太鼓代の三百両を受け取り、帰宅します。

主人公

帰ったぞー!
いくらで売れたと思う!?

あんた、様子がおかしいわね。
失敗したんじゃないのかい?

主人公

そんなわけあるかい!
三百両で売れたんだよ!

はぁ…。
この人は、なんでそんな嘘をつくのかねぁ。
損して帰ったっていうのが恥ずかしいのかい?

主人公

信じてねぇな!
本当に三百両で売れたんだよ!
ほら!

そして、甚兵衛は妻の目の前に、五十両、百両、百五十両と、小判の束を三百両分、妻の前に積み上げます。

えぇ!
すごいじゃない!
あんな汚い太鼓が、まさか三百両になるなんて…

やっぱり、音がしたから気がついたんだねぇ。

主人公

次も音がするものを買うぞ…!

半鐘(はんしょう)を仕入れようと思ってんだよなぁ。

半鐘は、ダメよ。
おジャンになっちゃう。

半鐘(はんしょう)とは、江戸時代に火事などを知らせる釣鐘式の鐘のことです。
この半鐘は、ジャーンジャーンという音がするため、その音と、オジャンになるという言葉をかけたオチで、このお話は終わります。

半鐘の音
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まとめ

この記事では、落語「火焔太鼓」の登場人物やあらすじについて、紹介させていただきました。

その他にも、落語をこれから楽しみたい方向けにおすすめの演目なども紹介しているので、参考にしてみて下さい。

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