クロード・モネは、印象派を代表する画家の一人です。
モネの作品は、今でも多くの人々を魅了し続けています。
この記事では、モネの絵画の特徴をお伝えして、美術館でモネの絵画を今よりも楽しむためのヒントをお届けできればと思います。
モネの生涯
モネの生涯については、こちらの記事で詳しく紹介しているのですが、さらっとおさらいをしておきたいと思います。
絵画の特徴について、すぐに知りたい方は、「モネの絵画の特徴」まで、飛ばして先に進んでください。
モネの子供時代と画家を志したきっかけ
クロード・モネは1840年にフランスのパリで生まれます。
その後、ル・アーブルという地域に移り住み、17歳の頃、カリカチュアという似顔絵のようなものを売り始めます。
18歳の頃、ウジェーヌ・ブーダンという風景画家と知り合い、彼の指導を受けながら、画家を目指すことになります。
ちなみに、こちらがウジェーヌ・ブーダンの絵です。
モネの作品は、水と光にフォーカスされたものが多いのですが、その感受性の高さは、海や空を描くのが得意であったブーダンと共に描いたことで磨かれたと考えられています。
印象派の仲間たちとの出会い
19歳になり、画家を目指して、パリへと旅立ったモネは、シャルル・グレールのアトリエで、アルフレッド・シスレー、オーギュスト・ルノワール、エドガー・ドガといった未来の印象派の仲間たちと出会います。
そして、彼らと共に新しい絵画のスタイルを模索しました。
そして、当時、サロンという国の展覧会があったのですが、画家にとって作品の発表の場は、ほとんどこのサロンしかありませんでした。
この体制やサロンの評価というものに不満を持ったモネたちは、グループでの展覧会を企画し、開催することになります。
これが、後の「印象派グループ」の始まりです。
印象派展より後は、旅をしたり自宅に庭を作りながら、連作をつくる
1880年代に入り、モネは旅を繰り返しながら絵画を描くようになります。
だいたい、モネが40代に入ってからです。
48歳の頃には、積みわらをテーマに作品にした連作を描き始めます。
連作というのは、後でも詳しく説明しますが、同じ景色やモチーフなどの、時間的な変化やアングルを変えて作品を描く手法で、モネの絵画の特徴といえます。
モネの絵画の特徴
それでは、ここからが今回の記事の本題です。
モネという画家の絵画の特徴について、紹介していきます。
モネの絵画の特徴をいくつか紹介しますが、最も注目すべきは、「光の表現」と、「連作」の2つです。
そこに注目しながら、読んでみてください。
水や光の一瞬の移ろいを捉える
モネの絵画の最大の特徴は、光や水の変化を色彩豊かに描きとることにあります。
モネの作品は、水面を主題にしたものが多く、水に映った光の一瞬の変化を素早く描きとりました。
上の写真は、「ラ・グルヌイエール」という、ルノワールと一緒に書いたことで有名な作品なのですが、水面の表現がとても綺麗ですよね。
この水に映った光の表現がモネの得意分野の一つです。
ただ、水面のところをよくみて欲しいのですが、筆のタッチが荒く、筆の跡がよく分かりますよね?
これは、モネだけの技法ではなく、印象派グループの画家がよく使う「筆触分割(ひっしょくぶんかつ)」という技法です。
色を混ぜずに、キャンバスに絵の具を置いていくような技法なので、スピーディーに絵を描くことができます。
モネは、この技法を用いて、その一瞬の景色の移ろいをキャンバスに描きました。
下の絵は、ほぼ同時期にサロンで高い評価を受けた、カバネルの「ヴィーナスの誕生」という作品です。
この絵も綺麗な作品ですが、水の表現など、筆のタッチは、モネと全く異なるものですよね。
当時は、カバネルのような伝統的な絵の方が評価が高く、モネなど印象派グループの新しい絵画の取り組みに関しては、なかなか受け入れらませんでした。
このことで、印象派グループは、モネも含め苦労することになります。
印象派については、こちらの記事で書いているので、参考にしてみてください。
モネといえば「連作」
モネといえば、連作と言われるほど、連作というものは、モネが主に取り組んだテーマでもあります。
「連作」とは、同一のモチーフやテーマを繰り返し描いた一連の作品のことを指します。
連作は、画家が同じ画題を深く掘り下げたり、異なる光や季節の変化を表現したりするために用いられます。
モネも、この「連作」を多く手がけました。
モネは連作を通して、自然の変化を詳細に記録し、光と色彩の微妙な違いを表現していきました。
代表的な連作には「睡蓮」や「積みわら」、「ルーアン大聖堂」などがあります。
こちらは、モネの睡蓮の絵です。
モネの睡蓮は、自宅の「水の庭」と呼ばれる庭園を描いたものだけでも、300点にも及ぶと言われています。
その睡蓮の連作も、1899年〜1900年までの第1シリーズと、1903年〜1908年までの第2シリーズに分けることができます。
第1シリーズは、1枚目の絵のように太鼓橋が描かれており、第2シリーズは、描く対象が池の水面によりフォーカスされているという特徴があります。
こちらが、積みわらの連作です。
そして、こちらがルーアン大聖堂の連作です。
これらの絵のように、モネは、同じ画題を主題としながら、朝の光、夕方の光、季節ごとの光の変化などを、連作として表現しました。
日本美術の影響を受けた作品も残っている
1867年、日本がパリ万博に参加したことをきっかけに、日本美術がパリに流入してくるようになります。
そして、19世紀後半、パリでは日本ブームが起こることとなります。
日本美術からヒントを得て、芸術を変革しようとする動きを「ジャポニズム」というのですが、モネも少なからずその影響を受けていました。
こちらは、モネの描いた「ラ・ジャポネーズ」という作品です。
このように、明らかに日本の影響を受けたと分かる作品だけでなく、斬新な構図や色彩表現など、浮世絵がモネに影響を与えた可能性も指摘されています。
また、睡蓮の連作を描くために、自宅の庭に日本風の太鼓橋を作っていた点なども、日本美術がモネに与えた影響を伺うことができます。
妻カミーユなど、家族がモデルの作品が多い
先ほど、紹介した、「ラ・ジャポネーズ」をはじめとして、妻カミーユなどをモデルにした作品が多く残っています。
上の絵は、妻のカミーユと長男ジャンを描いたものです。
モネの幸せな日々の気持ちが伝わってくるような作品です。
この上の絵は、新婚旅行の際に妻カミーユを描いたものです。
しかし、この妻カミーユは、32歳の若さで亡くなってしまいます。
彼女が、亡くなる際、モネは無意識に筆をとっていたと後年語っており、次の作品を残しています。
苦楽を共にした、妻カミーユの死は、モネをさぞ苦しめたことでしょう。
モネは、このあとアリスという女性と再婚しますが、アリスをモデルとした作品はほとんど残っていません。
下の絵は、「赤い頭巾、モネ夫人の肖像」という作品で、室内から外にいる一人目の妻カミーユを描いたものです。
モネは、生涯、この作品を手放すことなく、手元に置いていました。
モネの作品を楽しむためのポイント
絵画の楽しみ方は人それぞれなので、楽しみ方の一つとして、参考程度に目を通していただければと思います。
モネの絵画を楽しむポイントの1つは、やはり光と色彩の表現にあると思います。
モネ展などで、連作の作品が並んでいることがあるのですが、そのような場合は、異なる時間帯や季節による光の変化をどのようにモネが表現しているかをみてみましょう。
2つ目のポイントは、モネの作品は、華やかでありながら、どこか静けさを感じる作品が多い点も日本人好みなポイントではないかと思います。
絵画を眺めがら佇んでいると、水面の揺らぎや草木のカサカサという音が聞こえてくるような感覚になることがあります。
また、晩年のモネの作品もおすすめです。
というのも、モネは、1908年ごろから視力が低下し始め、白内障のせいで、絵の具の色もわからなくなるくらい、視力が低下してしまいます。
後に手術をして、ある程度視力は回復するのですが、これまでいくつもの絵画を残すたびに洗練されてきた「見る力」を奪われながら、描き上げた作品を見ると感慨深いものがあります。
ちなみに、絵の具の色がわからなくなるという絶望の中、モネは多くの作品を引き裂いてしまったため、1909年〜1914年の作品は、あまり残っていないと言われています。
このような状況で、亡くなる間際にオランジュリー美術館の大装飾画を描いたモネは、本当に偉大!
まとめ
今回は、モネの絵画の特徴を紹介させていただきました。
モネの絵画の特徴を知ることで、モネ展や印象派展などで、彼の絵画をより一層楽しむことができます。
モネの作品を楽しむためのポイントを押さえて、絵画をより楽しんでみてください。