挽きたての豆で淹れるコーヒーは香りも味わいも格別。
自宅にコーヒーミルがあると、いつでも美味しいコーヒーを飲むことができます。
しかし、「コーヒーミルを買うときは、高価で高性能なものが良い」と言われることも多く、「なかなか手がでないな…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、なぜ高価格帯のミルが良いと言われるのかをわかりやすく解説します。
そのうえで 本当におすすめできる高性能ミルと、初心者にも扱いやすい1万円前後の手動ミルを紹介します。

コーヒーミル(手動)を選ぶ前に知っておきたいこと

それでは、手動のコーヒーミルを選ぶ前に知っておきたいことについて解説します。
コーヒーミルとは
コーヒーミルは、焙煎されたコーヒー豆を挽いて粉にするための道具です。
電動で自動的に挽く電動タイプと、ハンドルを回して手で挽く手動タイプがあります。
市販の粉コーヒーでも手軽に楽しめますが、挽きたての豆でコーヒーを淹れると、香りの立ち方やコクが格段に違います。
また、豆を粉にしてしまうと風味や香りの劣化が早くなってしまうのですが、ミルがあれば豆のまま保存できるため、鮮度を保ちやすいのも魅力です。
コーヒーミルは、「コーヒーの香りと味を最大限に楽しむための道具」といえるでしょう。
高価なミルが良いと言われる理由
YouTubeやコーヒーに関する本の中で、「コーヒーミルは、高価で高性能なものを選んだ方が良い」とよく言われます。
これは安価なコーヒーミルだと、豆を均一に挽きにくいことや微粉が混じってしまうことが理由です。
例えば、挽いた豆の大きさがバラバラだと、小さな粒からは酸味が強く出て、大きな粒からは苦味が強くでます。
このように不揃いな粉が揃ってしまうと、狙った味を抽出することが難しくなったり、雑味につながったりします。
高性能なミルであれば豆を均一に挽くことができるため、味のばらつきが少ないコーヒーを淹れやすいため、高価なものがよくおすすめされるというわけです。
高価格帯のミルしか、使っちゃダメなの?
高価なミルは性能が高く、粒度を揃える精度に優れているため、味の再現性を求めたり、高いクオリティのコーヒーを楽しみたい人には最適です。
私も基本的には、高性能ミルの購入をおすすめしています。
とはいえ、「高価格帯のミルにはなかなか手が届かない。でもミルは使ってみたいな」という方がいるのもわかりますし、最初から高いものを無理して買う必要はありません。
最近は、1万円前後の手動ミルでも数年前と比べて性能が上がっており、品質の良い刃を搭載したモデルも増えています。
もちろん、高価格帯のモデルと比べれば性能は落ちるため、多少の粒のバラつきや味のブレは出てしまいますが、プロではない私たちが楽しむぶんには、十分に美味しいコーヒーを淹れられます。
「高性能ミルはほしいけれど、どうしても手が届かない…」と悩むくらいなら、まずは1万円前後のミルを手にとって、挽きたてのコーヒーをを味わってみましょう。
コーヒーミルを選ぶ5つのポイント

それでは、コーヒーミルを選ぶ際の5つのポイントを解説します。
手動か電動か
今回は手動ミルに関しての記事ですが、コーヒーミルを選ぶ際のポイントとして、手動ミルと電動ミルのそれぞれの特徴を解説しておきます。
手動ミルは、手でハンドルを回して豆を挽くタイプで、コンパクトなモデルが多く、電動より静かに挽けるのが特徴です。
ハンドルを回さなければいけないので、電動と比べると少し手間がかかりますが、ゆっくり手で挽くことで豆が熱を持ちにくく、香りや風味を損なわずに挽くことができます。
また、掃除などのお手入れがしやすいものが多いです。
一方、電動ミルはスピードが速く、一度にたくさん挽けるため、毎日複数杯飲む人や家族でコーヒーを楽しむ家庭に向いています。
効率は良いものの、メンテナンスや掃除に手間がかかる点はデメリットといえます。
どちらもメリット・デメリットがあるため、自分のスタイルをイメージし、手動と電動のどちらが合っているかを考えておきましょう。
すけさん最初の一台としては、コーヒーを挽く楽しさを感じやすい点や、掃除がしやすく扱いやすい点から、手動ミルがおすすめです。
価格帯
手動コーヒーミルの価格は、およそ3,000円〜数万円ほどと幅があります。
基本的には、コーヒーを美味しく淹れることを考えると、数万円クラスの「高性能ミル」を選ぶのがもっともおすすめです。
しっかりとしたミルを1台持っておくと、味の再現性が高く、長く愛用できます。
とはいえ、「ミルに数万円はさすがに厳しい」という方も多いと思います。
その場合は、1万円前後でもある程度性能の高いモデルがあります。
3,000〜5,000円台のコーヒーミルもありますが、味の再現性や刃の耐久性などを考えると、最低でも1万円前後を目安にすることをおすすめします。



「自分の費用はこのくらい」という予算の上限を決めておくと、候補を絞りやすくなります。
刃の素材
コーヒーミルの刃には、大きく分けて「セラミック刃」と「ステンレス刃」があります。
それぞれに良い点はありますが、最初の一台としては、ステンレス刃を採用しているモデルがおすすめです。
ステンレス刃は、金属ならではの強度と鋭さがあり、軽い力で均一に粉砕できるため、コーヒー豆の粒度も揃いやすいことが特徴です。
粒度が揃いやすいため、高性能ミルでもステンレス刃が採用されることが多いです。
また、浅煎り豆は深煎りに比べて硬いのですが、ステンレス刃は切れ味が良いため、こうした硬い豆でもストレスなく挽くことができます。
一方のセラミック刃は、金属臭が豆に移りにくいことや、経年劣化しにくいといったメリットがあります。
ただし、切れ味の鋭さではステンレスに劣るため、粒度がややバラつきやすい傾向があります。
こうした特徴を踏まえると、粒度の揃いやすさや扱いやすさの面から、最初の一台にはステンレス刃がおすすめです。



コーヒーにこだわるようになってきたら、浅煎りはステンレス刃、深煎りはセラミック刃というように、豆の種類や用途によって使い分けるのも良いでしょう。
容量
手動コーヒーミルを選ぶ際は、「一度に何gの豆を挽けるか」という容量も重要なポイント。
最初の一台としては、1〜2杯分の豆を挽ける20〜30g程度の容量がもっとも扱いやすいので、おすすめです。
手動ミルの容量は、小容量タイプから大容量タイプまで幅があります。
一般的な目安は、下記の通りです。
- 1杯(1人分)=約12〜15g
- 2杯(2人分)=約25〜30g
ミルが1人分程度の容量しかない場合、2杯分のコーヒーを淹れたい時は豆を2回に分けて挽く必要があります。
一方で、容量が大きすぎるミルは、一度に挽く量が増えることで手動では力が必要になるというデメリットがあります。
こうしたバランスを踏まえると、まずは20〜30gの容量を目安に選ぶと、失敗がありません。
刃の形状
※刃の形状については「気になる人向け」の補足解説です。
手動ミルの場合、ほとんどがコニカル刃という種類になるので、サッと読み流す程度でも大丈夫です。
手動ミルの刃の形状には、「コニカル刃(円錐刃)」と「フラット刃(平刃)」の2種類があります。
コニカル刃は上下の円錐状の刃で豆を挟み込むようにして挽く方式で、家庭用の手動ミルではほとんどのモデルがこの構造です。
粒度がややばらつきやすいものの、幅のある粒度分布によってコクを感じやすい味わいになりやすく、ドリップやフレンチプレスなど、一般的な抽出方法と相性が良いのが特徴です。
一方、フラット刃は2枚の平らな刃で豆を均一に切り刻む方式で、粒度の揃いやすさに優れています。
ただし、手動ミルで採用されることは非常にまれです。
フラット刃はエスプレッソなど細かい挽き目を安定させたい用途で使われることが多いですが、これは主に電動ミルの話であり、手動ミルを選ぶ際には選択肢に入らないことがほとんどです。
ここまで説明したように、手動ミルを選ぶ場合はほとんどがコニカル刃であるため、「刃の形状」で比較する場面はあまりありません。
しかし、刃の形状について理解しておくと、2台目を選ぶときや電動ミルを選ぶ際にも役立ちます。



今回は触れていませんが、電動ミルには「プロペラ式(ブレード式)」というタイプもあります。
おすすめの手動コーヒーミル3選


それでは、おすすめの手動ミル3選を紹介します。



こちらの記事では、便利で美味しい本格的なコーヒー豆のサブスクサービスを紹介しています。
新鮮な豆を注文して、お家で挽いてみるのはいかがでしょうか。


コマンダンテ C40 MK4
手動コーヒーミルの頂点と言っても過言ではない「コマンダンテ C40 MK4」。
粒度の均一性、刃の材質、設計など、あらゆる要素が極めて高いレベルで整ったミルで、バリスタの世界大会でも愛用者が多い「プロも認める一台」です。
ドイツ製の高合金ステンレス鋼を採用した刃は、耐摩耗性と切れ味に優れ、硬い浅煎り豆もしっかりと挽くことができます。
このミルで挽いた豆は、雑味の少ないクリアな味わいになりやすく、コーヒーの個性をストレートに引き出せるのが最大の特徴です。
高価格帯なのはデメリットに感じるかもしれませんが、ミルはコーヒーの味を大きく左右します。
「ミルだけは値段が高くても高性能で良いものを」と考えるバリスタやYouTuberも多く、多くの愛好家たちから、コマンダンテのミルがおすすめされています。
「最高の1台を長く愛用したい」「美味しいコーヒーを追求したい」という方には、コマンダンテ C40を強くおすすめします。
1Zpresso K-Ultra
1Zpresso(ワンゼットプレッソ)は、手動コーヒーミルの分野で急速に評価を高めている台湾ブランドです。
精密な金属加工技術を活かした高性能ミルを展開しており、こだわり派のコーヒー愛好家からも強く支持されています。
なかでも「K-Ultra」は上位モデルで、精度・操作性・挽き心地のバランスが非常に優れています。
ミルの刃にはステンレス刃が採用されており、浅煎り・深煎りを問わずスムーズに挽くことができます。
また、外部ダイヤル式の挽き目調整は細かく、粒度をコントロールしやすい点も魅力です。
高性能ミルとして名前が挙がることも多く、「コマンダンテほどの価格は難しいけれど、高性能なミルが欲しい」という方におすすめのモデルです。
TIMEMORE C2
TIMEMORE(タイムモア)のC2というモデルは、1万円前後という手頃な価格帯ながら、挽き心地と粒度の安定性で高い評価を受けています。
刃はTIMEMORE独自の形状が採用されており、浅煎りの硬い豆でも比較的スムーズに挽くことができます。
また、ボディには凹凸がありグリップしやすく、ハンドルをスムーズに回すことができます。
1万円前後という価格でありながら、粒度の安定性・挽きやすさ・デザイン性のバランスがよく取れており、コストパフォーマンスに優れた一台です。
「最初のミルはできるだけ手頃な価格で試したい」「手頃な価格で試したいけど、失敗はしたくない」という方にとって、TIMEMORE C2は最適な選択肢と言えるでしょう。
手動コーヒーミルで美味しいコーヒーを淹れるポイント


手動コーヒーミルは、ちょっとした使い方の工夫でコーヒーの味わいが大きく変わります。
ここでは、より美味しく淹れるために知っておきたい3つのポイントを紹介します。
豆を挽くベストタイミング
美味しくコーヒーを淹れるポイントなのですが、豆は「淹れる直前に挽く」のがベストです。
コーヒー豆は挽いた瞬間から酸化が進み、香りや風味が急速に抜けていきます。
そのため、挽いてから時間が経った粉では、どうしても香りが弱まり、ぼんやりとした味わいになりがちです。
一方、抽出直前に挽いた豆は香りの立ち上がりがよく、バランスの良い味わいに仕上がります。
少し手間はかかりますが、自宅でコーヒーを美味しく楽しむためには、「挽きたて」で淹れることがもっとも効果的です。
ハンドルを一定の速度で回す
コーヒー豆を均一に挽くためには、ハンドルを一定の速度で回すことが大切です。
速く回したりゆっくり回したり速度がバラつくと、豆が砕ける力のかかり方が不安定になり、粒の大きさにもムラが生まれやすくなります。
粒度が不揃いになると、抽出時に苦味や酸味が強く出る部分と薄く出る部分が混ざり、味のブレにつながってしまいます。
とくに手動ミルは機械のように一定の回転を保ちにくいため、「力を入れすぎない」「同じテンポをキープする」ことがポイントです。
回し方を意識するだけでも、味の安定感が変わります。
こまめに手入れをする
美味しいコーヒーを淹れるためには、ミルをこまめに手入れすることが欠かせません。
コーヒー豆には油分が含まれており、挽くたびに刃や内部に少しずつ付着していきます。
この油分は時間が経つと酸化し、嫌なにおいや雑味の原因になります。
また、微粉が内部に溜まると、挽き目が不安定になったり、均一に挽けなくなることもあります。
そのため、日常的にはブラシで粉を払い、数週間に一度は分解してしっかり掃除するのがおすすめです。
手動ミルは構造がシンプルなので、分解・清掃が簡単な点も魅力です。
定期的なメンテナンスをすることで、ミルの性能を長く保ち、いつでも雑味のないクリアな味わいを楽しむことができます。
まとめ
手動コーヒーミルがあると、挽きたてならではの香りと味わいを自宅で存分に楽しめます。
ミルを選ぶ際は「刃の素材」や「容量」などのポイントを押さえることが大切です。
高価格帯のミルは粒度が揃いやすく、味の再現性に優れているため、基本的には高性能ミルがおすすめです。
とはいえ、「高級ミルはさすがに手が出しにくい…」という方は、1万円前後でも比較的性能の良いモデルを選べば、挽きたてを十分に楽しめます。
今回紹介したコマンダンテC40、1Zpresso K-Ultra、TIMEMORE C2は、どれもコーヒー愛好家から評価が高く、自信を持っておすすめできるミルです。
あなたのスタイルに合った一台を選び、毎日のコーヒータイムをより豊かに楽しんでください。









