「猫の皿」は、古典落語の演目の一つです。
この記事では、「猫の皿」のあらすじや登場人物などを紹介しています。
「猫の皿」とは?
「猫の皿」は、主人公が田舎の茶屋に行ったところ、猫が餌を食べているのを見つけるのですが、その猫が使っている皿が、高価なものだと気づき、その皿を手に入れようと企てる物語です。
主人公が高価な皿を手に入れようと、あの手この手を使うのですが、「実は、茶屋の主人の方が、一枚上手だった」というオチが、このお話の見どころです。
原作は、文政4年(1821年)に出版された「大山道中膝栗毛(おおやまどうちゅうひざくりげ)」などに見られます。
猫の皿の登場人物
それでは、落語「猫の皿」の登場人物について、紹介します。
古道具屋の男(果師)
この物語の主人公です。
この男は、古道具屋さんで、当時の呼び方で「果師(はたし)」と呼ばれる職業をしています。
田舎の茶屋に立ち寄り、猫が使っている皿に目をつけます。
古道具屋としての知識を活かして、猫が使っている皿を手に入れようとするものの、最終的に自分の目論見が外れるというオチがつきます。
茶屋の主人
一見、普通の茶屋の主人ですが、古道具屋と同じく商売に抜け目がありません。
物語の中では、最終的に主人公の目論見を見抜き、うまくやり返します。
猫
物語に登場してきますが、セリフなどが特にあるわけではありません。
この物語の中心となる「皿」を使って、餌を食べています。
猫の皿のあらすじ
それでは、猫の皿のあらすじを紹介します。
田舎の茶屋に立ち寄る古道具屋の男
主人公の古道具屋(果師)は、掘り出し物の商品を見つける旅をしており、江戸へと帰る途中です。
そして、一息入れようと、ある茶屋に立ち寄ります。
ちょっとここらで、休憩とするか…
じいさーん!休ませてもらうよー!
いらっしゃいませ。
お茶をどうぞ。
ありがてぇ。
ゆっくりさせてもらうよ。
エサを食べる猫を見つける古道具屋
お!あんなところで、猫がエサを食ってやがる。
猫は嫌いなんだよなぁ。
もぐもぐ。
そして、古道具屋は、あることに気づきます。
あ!あれは、絵高麗の梅鉢(えこうらいのうめばち)じゃねぇか!!
江戸へ持って行ったら、300両はくだらねぇ代物だぞ。
あんな高価なものを猫の皿にしてやがる!
猫が使っている皿を手に入れようと動き出す古道具屋
あんな高価な梅鉢を猫の皿にするなんて…
価値を知らねぇってのは、恐ろしいもんだ。
よし!ここはひとつ…
もぐもぐ
いやぁ〜、可愛い猫だなぁ。
こっちこい。こっちこい。
おー来た来た。可愛いやつだねぇ。
(なでなで)
にゃー。
膝の上に乗っかってきて、可愛い猫だなぁ。
お客さま、汚い猫なんで、膝の上になんか乗せたら、お着物が汚れてしまいます。
かまわねぇよ。
おいら、猫が大好きなんだ。
おー、よしよし。
じいさん。こいつは、いい猫だなぁ。
そうでございますか?
良い猫なんて言われたのは、今日が初めてでございます。
茶屋の猫と、猫が使っている皿を買いたいと交渉する古道具屋
ここで、この猫を買いたいと、古道具屋が、茶屋の主人に交渉を始めます。
おい、じいさん。
おいら、この猫が気に入っちまった!
3両で、この猫を売ってくれないか?
そんな汚い猫に、3両も!
これはしあわせものでございますなー
どうぞ、可愛がってやってください。
そして、本来の目的である、絵高麗の梅鉢を手に入れようとする古道具屋。
あ!それと、猫は慣れた皿じゃないと、飯を食わねぇって聞くから、一緒にさっきこの猫が使ってた皿を譲ってくれねぇか?
それは、できませんな。
なんでだよ!
猫がかわいそうじゃねぇか!
お客様は、ご存じないかもしれませんが、この皿は、絵高麗の梅鉢と言って、大変高価なものなのでございます。
茶屋の主人が、高価なものだと知っておきながら、猫の皿に絵高麗の梅鉢を使っていたことに驚く古道具屋。
え!?
おい、じいさん!
なんで、そんな高価な茶碗を猫の皿なんかに使ってるんだ?
実はですね。
この皿にエサを入れて、猫に飯をやってると、時々、猫が3両で売れるんでございます。
このように、古道具屋よりも茶屋の主人の方が、一枚上手だった。という一言がオチとなり、このお話は、終わります。
まとめ
「猫の皿」は、シンプルなお話ですが、ユーモアが詰まった名作です。
古道具屋と茶屋の主人とのやり取りを通して、商売の駆け引きや人間の狡猾さが巧みに描かれ、最後の意外なオチが魅力の作品です。
シンプルなお話なので、落語初心者でも存分に楽しむことができます。
YouTubeなどでも「猫の皿」と検索をすると、演目を観ることができますし、実際に寄席に行って落語を見るのもおすすめなので、ぜひ気軽にこの作品を楽しんでみてください。