「渋い趣味」は、表面的な派手さや目立つ楽しみではなく、内面の豊かさを追求する大人ならではの嗜みです。
茶道、盆栽、書道、レコード収集など、時間をかけてじっくりと楽しむような趣味は、心に落ち着きを与え、日常の喧騒から解放されるひとときを提供してくれます。
この記事では、そんな渋い趣味の魅力や、実際にどのような趣味があるのかを解説しています。
心を癒しながら充実した時間を過ごせる「渋い趣味」を見つけるための参考にしてみてください。
渋い趣味とは?
「渋い」とは、派手でなく、落ち着いた深い趣がある。という意味のある言葉です。
つまり、「渋い趣味」とは、見た目の派手さや目立つ楽しみではなく、内面的な充実感や深い満足をもたらす趣味のことを指します。
表面的な流行や華やかさを追求するものではなく、時間をかけてじっくりとその魅力を味わい、長く続けるほどにその奥深さを感じられる趣味です。
例えば、茶道や盆栽などが典型的な「渋い趣味」の例です。
これらの趣味は、一見すると地味に見えるかもしれませんが、続けるうちに、技術や知識が深まり、より豊かな楽しみ方ができるようになります。
成熟した大人が、日々の忙しさから一歩離れて、自分だけの静かな時間を持ち、心の豊かさを追求する手段として、人気が高い趣味です。
また、「渋い趣味」を通じて得られるのは単なるスキルや知識だけではなく、自己成長や内面的な安定感も含まれます。
流行に左右されず、自分のペースで取り組めることが大きな魅力であり、深い精神的満足感を求める人にとって理想的な趣味と言えるでしょう。
渋さを感じさせる趣味の魅力
では、具体的に「渋さ」を感じさせる趣味にはどのような魅力があるのでしょうか?
ひとつ目の魅力は、時間をかけて成熟していくという点です。
渋い趣味は、習得するまでにコツコツと継続が必要なものが多く、その過程が楽しみの一部となっています。
例えば、盆栽や茶道などは、一朝一夕では習得できず、長年かけて少しずつ技術や知識を深めることが求められます。
時間をかけて取り組むことで、最初は感じられなかった深い魅力に気づくようになります。
次の魅力は、内面的な豊かさを育むという点が挙げられます。
渋い趣味は、外見や一時的な満足感を追い求めるものではなく、心の静けさや内面的な充実感を得ることが主な目的です。
例えば、書道やクラシック音楽の鑑賞などは、じっくりと集中することで心を落ち着かせ、精神的な豊かさを育んでくれます。
また、実用性や歴史的背景を学べることも、渋い趣味の魅力のひとつです。
渋い趣味には、歴史や文化に根ざした伝統的な価値があるものが多く、その背景などを学びながら楽しむことができます。
最後に、流行りに左右されないということが渋い趣味の重要なポイントです。
渋い趣味は、コツコツと年齢を問わず一生楽しむことができるため、ライフスタイルに溶け込みやすいという特徴があります。
これにより、人生の様々な局面で心の支えとなり、長く続けるほどにその深みが増していきます。
渋さを感じさせる趣味は、内面の充実感や深い満足感を求める大人にとって、理想的なライフスタイルの一部となり得ます。流行に左右されず、自分のペースでじっくりと楽しむことができる点が最大の魅力です。
おすすめの渋い趣味15選
それでは、おすすめの渋い趣味を紹介していきます。
茶道
茶道は、お茶を点てる動作や、静かな茶室の雰囲気そのものが心を癒し、長年かけて学び続けられるところが魅力的な趣味です。
茶道には、いろいろな流派がありますが、茶道人口の半分以上を占めるのが、「裏千家(うらせんけ)」です。
裏千家は、茶道の三大流派の一つで、千利休を祖とする茶道の家元です。千利休の精神を受け継ぎながら、茶道の教えや作法を広めています。
茶道は、個人の教室やカルチャーセンターなどで、習うことができます。
週に何回開催されているかなどをチェックして、自分に合った場所を探しましょう。
習い事に行くまで本格的ではなく、自宅で気軽に楽しみたい方にはこちらの書籍もおすすめです。
盆栽
盆栽は、小さな鉢の中で自然の風景を表現する日本の伝統的な趣味です。
植物を剪定(せんてい)し、枝や根を整えながら成長を見守ることで、四季折々の変化を楽しめます。
盆栽の魅力は、手間をかけるほどに美しさが増し、自分だけの作品を作り上げる達成感を得られる点にあります。
また、手入れをする時間そのものが瞑想的なひとときとなり、心の静けさを保つ効果も期待できます。
初心者でも始めやすく、一生楽しめる趣味として人気です。
書道
書道は、文字を美しく書くことで、技術と精神を磨く趣味です。
筆や墨を使い、集中して文字を描く過程は、単なる書写を超えたアートと捉えることもでき、心の落ち着きを得る瞑想的な時間でもあります。
書の技術を追求しつつ、自分の感性を表現する楽しさがあり、作品が完成するたびに達成感を味わえます。
また、初心者から始めやすく、継続して学ぶことで一生続けられる趣味でもあります。
レコード収集
レコード収集は、普段から音楽を聴く人にとっても、特別な魅力を持つ趣味です。
アナログレコードならではの温かみのある音質は、デジタルでは味わえない独特の深みがあります。
アナログは、デジタルと異なり、高い周波数の音も収録されているため、デジタルCDよりも音の響きや柔らかさを楽しむことができます。
古いレコードを探し出し、その音楽に関する歴史や社会的な背景を知る楽しさも、レコード収集の醍醐味です。
ジャケットのデザインや、時代ごとの録音技術の違いを楽しむこともでき、音楽そのものだけでなく、文化や歴史を感じながら深く楽しむことができます。
手間をかけて集めることで、愛着も一層深まります。
クラシック音楽の鑑賞
クラシック音楽とは、一般的には「17世紀~20世紀前半までの、ドイツ・オーストリアを中心とした西洋音楽」を指します。
クラシックを聞くことにより、静かな時間を楽しみながら、内面で深い感動を味わうことができます。
バッハ、ベートーヴェン、モーツァルトなどの作曲家による楽曲は、何世紀にもわたり愛され続け、時代を超えた美しさと力強さを持っています。
交響曲やオペラなど、様々な形式の音楽を通じて、繊細な感情や壮大な物語を感じ取ることができる点が魅力です。
耳を鍛え、心を豊かにするクラシック音楽は、じっくりと深く味わえる渋い趣味として、多くの人に愛されています。
落語鑑賞
落語は、噺家が一人で複数の登場人物を演じ分けながら物語を話す、日本の伝統的な話芸です。
ユーモアや風刺を交え、最後に「オチ」で笑いを誘う形式が特徴です。
寄席(よせ)という落語の演芸場に通うことで、昔から伝わっている古典落語を、噺家がどう表現するかを比べる楽しみもあります。
落語を通じて、古き日本の情景や文化を感じ、心の豊かさを得ることができる趣味です。
落語に関しては、こちらの記事でも紹介しているので、参考にしてみてください。
能・狂言の鑑賞
能は、日本の伝統的な舞台芸術で、600年以上の歴史があります。
室町時代から続き、古くは、徳川家康や豊臣秀吉にも愛された芸能です。
能の演目の多くは、「平家物語」や「今昔物語」など、室町時代の庶民に愛された古典が題材にされています。
また、狂言は、能と違いコメディ要素やユーモラスな要素が多い喜劇のことを指します。
能は、能面などのお面をつけて舞台を行いますが、お面を使わないのも狂言の特徴です。
能は、能楽堂というところで見ることができ、代表的なものとしては、東京にある「国立能楽堂」というところがあげられます。
能で話される言葉は、現代の言葉ではありません。
事前にあらすじを理解しておくと、より楽しむことができます。
囲碁・将棋
囲碁・将棋は、知性と戦略を駆使して楽しむことができる趣味です。
どちらも年齢を問わず楽しむことができ、対局を通じて集中力や忍耐力を養うことができます。
囲碁・将棋は、一生を通じて楽しめる知的な趣味です。
囲碁教室や将棋教室のような場所で楽しむのも良いですし、スマートフォンのアプリでもリーズナブルに楽しむことができます。
陶芸
陶芸は、いわゆる「やきもの」のことで、粘土を成形して、高温で焼くことにより陶磁器などを作ることです。
ろくろを使って器や花瓶を成形し、焼き上げる過程は、集中力を必要とし、創造性を養うことができます。
自分の手で作った作品を日常生活で使う喜びや、完成したときの達成感は格別です。
陶芸は、やろうと思えば自宅でも行うことができますが、道具を揃えたりするのに多少お金がかかるので、まずは体験教室などに行って、自分に合う趣味かどうかを体験してみることをおすすめします。
絵画鑑賞
絵画鑑賞は、静かにアートを味わうことで、心を豊かにできる趣味です。
作品の鑑賞を通して、感性を磨くこともできますし、知識がついてくると、作家の技法や作品の背後にある歴史や背景も含めて、より深いところで楽しむことができます。
「渋さ」を求めるのであれば、日本の芸術家の作品を中心に鑑賞するのが良いかもしれません。
個人的には、戦前に「東の大観、西の栖鳳」と呼ばれた日本画の巨匠の「横山大観(よこやまたいかん)」や「竹内栖鳳(たけうちせいほう)」などが、おすすめです。
俳句・短歌
俳句や短歌は、ペンや紙があればできるため、気軽に始めることができる趣味です。
また、短い文章の中から、その背景にある意味などをじっくりと考えることができるという点も俳句や短歌の魅力で、自分が作るだけでなく、人の作品を楽しむこともできます。
俳句や短歌は、心の静けさを育むだけでなく、自己表現の一環としても楽しめます。
お城巡り
お城巡りは、お城に訪れて、歴史と建築の魅力を楽しむ趣味です。
各地に点在する日本の城を訪れ、その壮大な構造や石垣、天守閣を眺めることで、戦国時代や江戸時代の歴史に思いを馳せることができます。
また、背景には、武将や大名たちのドラマがあり、それを知ることでお城巡りの魅力がさらに深まります。
実際に現地を訪れてその壮大さを体感することも楽しみ方のひとつです。
下で紹介している本は、筆者も愛用している書籍で、初心者の方向けにおすすめの本です。
アンティーク・ヴィンテージ家具のコレクション
アンティーク家具やヴィンテージ家具のコレクションは、時代を超えた美しさと職人技を楽しむ趣味です。
歴史的背景や時代ごとのデザイン、素材の違いを感じながら、日常生活に取り入れられる点が魅力です。
ちなみに、一般的にアンティークとは100年以上前のもの、ヴィンテージとは、20年〜100年前のものを指します。
これらの家具を収集・手入れする過程で、愛着が深まり、使い込むほどにその価値が高まることも楽しみのひとつです。
購入する際は、アンティーク家具の専門店や、ヤフオクなどを活用することをおすすめします。
お酒(燗酒・ウィスキー)
お酒を楽しむことは、多くの大人に愛されている趣味です。
その中でも、燗酒(かんざけ)とウィスキーは嗜んでいると、渋い印象のあるお酒です。
燗酒は、日本酒を適温に温めて楽しむ飲み方で、その温度によって風味や香りが変わる点が大きな特徴です。
特に寒い季節には、体を内側から温めてくれる優しい味わいが魅力です。
ウィスキーは、長期間熟成され、樽の香りや風味が溶け込んだ深みのあるお酒です。
ストレートやロック、ハイボールなど、様々な飲み方があり、飲むたびに新しい発見があります。
時間をかけて香りを楽しみ、一口ずつ味わうことで、心を落ち着かせるひとときが得られます。
燗酒もウィスキーも、大人の印象を与える飲み物ですが、大騒ぎをしていたりするとその印象も薄れてしまうので、大人としての飲み方ができるよう注意をしましょう。
万年筆のコレクション
万年筆は、ただの筆記具ではなく、職人技が詰まった美しい道具です。
書き心地の違いやデザインの多様性、そして使うたびに手に馴染む感覚が、万年筆ならではの魅力です。
万年筆は、ペン先の素材や形状によって書き味が異なり、自分好みの1本を見つける楽しみがあります。
また、ヴィンテージものや限定品などを集めることで、ブランドの歴史なども学ぶことができます。
インクの選び方次第で書き心地が変わり、手書きの楽しみが広がるの点も万年筆のコレクションの大きな魅力です。
万年筆は、手入れをしながら長く使い続けることで、味わいを増し、自分だけの特別な道具へと育っていきます。
渋い趣味を始めるためのコツ
それでは、渋い趣味を始めるためのコツを紹介していきます。
興味があったら、とりあえずやってみる
渋い趣味を始める第一歩は、自分が興味を持っているものを見つけることです。
気になる趣味があれば、まずは気軽に情報を集めたり、体験をしてみましょう。
大切なのは、完璧を目指さずに、自分が楽しく続けられるものを見つけることです。
最初は興味本位でも、続けるうちにより深みが増していき、自然と没頭できるようになっていきます。
専門店や教室で情報収集する
渋い趣味は、ニッチな趣味が多く、専門的な知識や道具が必要なことがあります。
コミュニケーションが苦手でない人は、専門店や教室で、詳しい方から情報を得ることをおすすめします。
例えば、茶道具や盆栽を趣味にする場合、手入れ道具などのことを専門店で直接アドバイスをもらうことができますし、教室などに通うことで、基本的な技術を習得できるだけでなく、同じ趣味を持つ仲間とも出会える機会になります。
継続的に楽しむためのコツ
今回紹介したような趣味は、長く続けるほどその魅力が深まるものであり、続けるコツは、無理をせず、自分のペースで楽しむことです。
日常生活の中で無理なく取り入れられるよう、時間を決めて習慣化すると良いでしょう。
また、定期的に新しい挑戦を加えることで飽きずに楽しむことができます。
例えば、茶道なら季節ごとの道具を変えたり、書道なら新しい書体に挑戦するなど、少しずつ変化を取り入れてみましょう。
まとめ
「渋い趣味」は、派手さや流行に左右されることなく、じっくりと楽しみながら心の豊かさを育める趣味です。
茶道や盆栽、書道など、長年にわたり深く追求できるものが多く、その過程で得られる達成感や精神的な充足感は格別です
また、年齢を問わず長く続けられるものが多いため、ライフスタイルの一部として取り入れれば、日々の生活がより充実したものになるはずです。
一生の趣味として楽しめるものを探してみましょう。